集客といえば、「新規客」と思ってはいけません。既存客こそ「宝」です。
初めてコンサルを依頼されたお客様は、必ず「お客様が来ないんです。新規のお客様を集めないと…」といわれます。
果たしてそうでしょうか?
既存客を集める費用は、新規客を集める費用の10分の1ともいわれます。まずは、新規客よりも既存客を集めることに取組んでください。
バケツの底の穴を塞がずに、水を入れても一杯にはならないのと同じです。
ここでは、集客ツールとして、「新規客」と「既存客」に有効なものを紹介していきます。
たくさんくれば嬉しいんだけど。
お客様の種類
お客様とお店(自社)との関係性を表す言い方があります。
お店から関係性が浅い順番に「見込み客」「新規客」「既存客」「上得意客」となります。
見込み客
あなたのお店と何らかの接触を持ったお客様です。
ホームページから資料を取り寄せた。
お試し品を購入した。
お問合せなどで、何かしらの興味を持ってくれた
というお客様で、「興味がある」という段階のお客様です。
新規客
一度でも来店してくれた、あるいは、何かの商品を購入してくれたお客様です。しかし、2度、3度と買ってくれていないお客様です。
既存客
お店によって定義は違いますが、少なくとも3度もしくは5度以上は買ってくれたお客様です。
上得意客
何度も商品を買ってくれたお客様です。あなたのお店の売上の上位2割に属するお客様です。
まずは、見込み客・新規客を集めて、既存客、上得意客に育てていくプロセスを作成しておくことが大切です。
また来てくださいね。
新規客・見込み客の集客ツール
新規客集客ツールとしては、チラシ、ホームページ、看板、媒体広告が主なものです。このように新規客を集めるにはコストがかかります。ですから、どの広告に、いくらの費用がかかって何人集客できたのか、新規客獲得単価を計算し、効率の良い広告に費用を投下し、新規客を集めるという工夫が必要です。
チラシ
近年チラシの反応は落ちているといわれますが、その理由は、新聞購読率の低下によるものです。
特に、30代~40代前半の購読率は30%を切るとも言われています。この年齢層をターゲットにしている業種は、新聞折り込みチラシの反応が激減しています。
一方、高齢層になると新聞購読率は高く、反応もあるようです。ですから、チラシはダメということではなく、年齢層を対象にした場合は、有効な手段であるといえます。
新聞、取っていないよ!
ホームページ
ホームページの場合は、顧客自らが能動的に調べます。そのためには、ホームページに連れてくることが重要です。アクセスを集めるには、3つの方法があります。
STEP1 自然検索で集める
自然検索とは、検索キーワードで調べた時にホームページを表示させることです。この時に、その検索ワードで上位に表示されているものほどアクセス数は上がります。
ですから、特定のキーワード(例えば、自社に関連のある10個程度のキーワード)だけで、上位表示を狙うことをされますが、そうではなく、いろんなキーワードで上位に表示させるようにすると、アクセス数はよりアップします。
STEP2 SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)
SNSとは、無料で使える情報伝達サービスです。よく知られているものでは、Facebook、Twitter、LINE、mixi、Goggle+などがあります。これらの目的は、個人間のコミュニケーションを取ることですが、ビジネスでも情報拡散ツールとして使われています。
STEP3 ネット広告
ネット広告には、主なものとしてPPC(リスティング)広告、プレースメント、YouTubeの広告があります。
PPC広告は、検索した時に上部や右列に【広告】として、表示されるもので、クリック課金型になっています。最上位に表示させるには、ワンクリックの設定単価を競合キーワードの中で一番高い金額に設定しておくと表示させることができます。
プレースメントとは、設定したキーワードで、関連性の高いサイトに広告を表示させるもので、自動的にGoogleが判断して、表示させる自動プレースメントと自分自身で表示させたいサイトを選択する手動プレースメントがあります。
これも、PPCと同様にクリック課金型広告ですが、PPCと比較すると安い金額で表示させることができます。
ネット広告も必要かもね!
YouTubeの広告は、ディスプレイ広告、オーバーレイInVideo広告、TrueViewインストリーム広告、スキップ不可のインストリーム広告があります。詳細についてはこちらをご覧ください。
しかし、上位表示させたり、広告を使ってアクセス数を集めるだけでは、集客とは言えません。集客するには、ホームページは物言わぬ営業マン的存在でなければいけません。
以前は、情報を出し惜しみして、「気になることがあれば、問い合わせてください」というスタイルでしたが、今では、不十分な情報しか掲載されていないホームページは、顧客が見向きもしてくれません。ですから、余すところなく情報を提示する必要があります。
しかし、情報を提示するだけでは、顧客を獲得することはできません。飲食店など、比較的低単価なものは、直接集客することはできます。それでも、なんのサービスもなければ、クーポン券を付けているお店に流れてしまいます。
また、住宅などの高額商品の場合は、顧客の警戒心も強く、いきなり問い合わせがあることは滅多にありません。まずは、オファーを用意して、会社名や氏名、メールアドレスなどを取得し、メルマガや個別メールで情報を発信し、顧客との距離を縮め、問い合わせや来店に結び付くようにアプローチしなければいけません。
物言わぬ営業マンね!
看板
ほとんどの業種は、地域密着型です。地域密着型の場合に欠かせないのが看板です。店頭にあるのは当たり前ですが、地域で人の集まるところや電車や車からの視認性が高い場所への看板の設置は集客の重要ポイントです。
先日も、ご近所の忘年会の席で、「○○っていう居酒屋知ってる?」という話になりました。ところが、ほとんどは「そんな店知らんな」ということになったのですが、「○駅近くで、魚の絵が描いてあって、味は保証」っていう看板見たことない?」。「ああ、それなら知ってるよ。ちょっと小汚い看板でしょ。」驚いたことに、みんなが知っていたのです。
それほど、看板は店の存在を知らせるうえで重要なのです。
一目でわかるものね!
媒体広告
広告媒体と言えば、TVCFや雑誌広告、新聞広告を思い浮かべますが、地域密着の場合は、マス媒体を使うのではなく、地域に流通している情報誌の広告です。
地域には必ずと言っていいほど、情報誌があります。ここに広告を出して集客します。
飲食店などでは集客できますが、広告費に対しての新規客獲得単価は、常に計算しておいて、採算が合うのかどうかを割だし、採算が合うのであれば広告による集客を続ければいいのです。
ただし、広告を出した時のスペースの大きさを変えたときの反応や記事紹介風の広告にした時の反応を試す必要があります。それらの中で、採算が合い効率よく集客できる掲載方法を採用すればいいのです。
高額商品の場合は、イベントの紹介が必要になります。商品の紹介だけでは集客することができません。「楽しそうだから、行ってみようかな?」と思わせるようなイベントを紹介して来場を促すようにしなければいけません。
地域のフリーペーパーね!
既存客集客ツール
集客といえば、新規客のことを考えがちですが、そうではありません。既存客こそが集客するターゲットです。既存客集客ができてこそ、新規客の集客が活きててきます。でないと、費用をかけていくら新規客を集めても、リピートさせることができなければ、売り上げは安定しないからです。
新規客を集めるツールとしては、前述しましたが、既存客を集客するためのツールは、はがきDM、封書DM、ニュースレターがあります。
いずれも集客するには、顧客リストが必要になります。住所・氏名・連絡先はもちろんのこと、年間の購入額、購入頻度、最終購入日、何を買ったかの分析、誕生日などの記念日がわかるような顧客リストがなければ、既存客集客はできません。
まずは、顧客リストを作成することから既存客集客は始まります。
顧客データが必要
ニュースレター
既存客集客の肝といっても、よいほど重要なツールがニュースレターです。
ニュースレターを発行することにより、既存客とコミュニケーションを取り、何度も来店してくれるようにしなければいけません。人は、「もの」を購入するときの決定は、「人」ですから、お客様を大切にしなければいけません。
かといって、すべてのお客様にニュースレターを発行するとなると費用がかかりすぎます。1000通だすとすれば、郵送費だけでも8万円もかかることになります。毎月となると費用がかかりすぎます。
そこで、お勧めは、上位2割の上得意様に発行することです。「20対80の法則」からもわかるように、上位2割のお客様が、総売上の8割を占めています。このお客様は、元々、あなたのお店を応援してくれていますから、ニュースレターでお店スタッフの人柄を伝えれば、さらに購入してくれることが期待できます。
はがきDM
既存客を集めるときに、セールや割引の案内は必要です。はがきDMは郵送費が52円と安く、かつ、封入するような手間がありませんので一度に多くの顧客に出すことができます。
それだけではありません。来店していただいたお客様に御礼のハガキとして出すこともできますし、個人的な案内としても手軽に出すことができます。
また、疎遠になっているお客様に出すことによって、顧客リストのクリーニングとしても使うことができます。
封書DM
封書DMの場合は、少し大掛かりなセールや割引のときに使用することが多く見受けられます。決算セールや利益還元セールなど、お客様に還元するようなときに有効です。
なぜなら、このような売り出しの場合、同封する案内が増えるからです。案内状・セールスレター・チラシ・申込書などがそれに当たります。
まとめ
集客は、「見込み客・新規客」と「既存客」を分けて考えてください。「新規客」の集客ツールは、チラシやフライヤーが中心になります。「既存客」の集客ツールは、ニュースレター、はがきDM、封書DMが大切になります。
但し、既存客の顧客データを整理していなければアプローチすることができませんので、こまめに整理することが大切です。
余談ですが、江戸時代の商人は火事になると大福帳(顧客名簿)を一番に持って逃げたそうです。
顧客名簿さえあれば、商売は立て直せると考えていたのでしょう。